平成24年02月04日〜平成25年08月16日 百件

皇紀2672年08月10日 ベストカーがまたやらかした

 いちいち噛み付くのも大人げないと思うのですが、日本車vs欧州車で歪な比較記事を載せる自動車 雑誌はオカシイと思う。 正直な話、そこまで日本車が嫌いなら何も日本車をメインに扱う自動車雑誌 なんか刊行しなくて良い。 『ル・ボラン』とか『ゲンロク』とかそういうのを造って、頭の悪い外車崇拝者 向けの外車マンセー記事を書いてりゃいいんだ。
 何も「日本車をメインに扱う雑誌なんだから、日本車を贔屓して外車を貶せ」なんか言わない。
 公平に評価しろと言ってるんだ。

 で、その記事ですが。

 日本のスポーツカーは名門を超えたのか? 欧州の名門vsJスポーツ
 と題して日欧でスポーツモデルを比較しているのですが、相変わらず比較対象が無茶苦茶。

 まず一発目からしてトンデモナイ。

 ■ R35日産GT-R vs 新型ポルシェ ボクスター

 確かに双方共スポーツモデルかも知れないが方向性がまるで違う。
 GT-Rは、公道を走行可能な『自動車メーカー製走行会ブッチギリ仕様』である。
 GT-Rは、公道を走って面白いクルマではない。 ランエボと制御の仕方は異なるが、基本的にランエ ボの様に挙動を電子制御して異次元の走りを安全に供給する代物。
 スペックの低いランエボと違ってGTRは、公道ではその異次元の走りを欠片も味わうことができない。  一方のボクスターは、サーキットも走れるが日本車の2000ccモデルとタメを張るのが精一杯の鈍亀。
 事実、比較データとしてニュルブルクリンクのコースレコードが併記されていたがGT-Rが7分24秒な のに対してボクスターは7分58秒。
 記者は「どちらも8分を切っているから大同小異」とでも言いたいのだろうが、ラップタイムを4で割っ たら我々にもお馴染みのミニサーキットのラップタイムになる。
 ノーマルの市販車がラジアルタイヤで1周2分未満で走るようなコースで、1周当たり平均8.5秒も違 ったら、そりゃもう天と地ほど違う。 完全に比較対象から外れるくらい違う。 混走させるのが危ないく らい違う。

 そもそもボクスターは公道を気持ちよく走る為のオープンカー。
 この比較は、和食と洋食,クラシック音楽とジャズ,ピストとマウンテンバイクを比べる様なモノだ。
 端から成立しないのだ。

 そして問題なのは、これだけスペックの違う二台を、公道に於けるFun to Driveを主体に比較している 点にある。
 繰り返すがGT-Rの真骨頂は電子制御された挙動が齎す異次元の走りであり、それは公道で体験し 得ないモノだ。 公道で走るGT-Rはドライバーが操っているのではなく、クルマに乗せられているに過 ぎない(ランエボでさえそう思う時がある)。
 しかも、クローズドのGT-Rに比べてボクスターはオープンカーである。
 一度でもオープンカーに乗ったことがある人なら御存知の通り、「屋根を外すのは卑怯」と言って良い 位に屋根なしはFun to Driveに効く。 「楽しいかどうか」だけで言えば、私のランエボはロードスターの 足元にも及ばない。 思い出補正で美化されているバラード・CR-Xでさえもオープンカーの楽しさの前 には膝を屈する。
 そんなモノにFun to Drive視点でGT-Rをぶつけるのだから、実に悪意に満ちた企画だと言わざるを 得ない。

 正気かよ?と思う。



 二発目も酷い。

 ■ トヨタ86 vs BMW 320i

 確信犯(誤用)なのかどうか分からないが、一発目の“R35日産GT-R vs 新型ポルシェ ボクスター”の 時は、資料としてスペック表に価格を載せ、さらに本文中でも価格について触れていたのになんと!こ ちらは資料としてスペック表が併記されておらず、本文中でも価格に触れていない。

 もちろん、ググればスグに分かる。

 86は売れ筋のグレードで車両価格279万円。 一方、320iは6速MTが車両本体価格468万円である。

 その差、実に1.68倍。 何の事はない。 価格差があり過ぎて比較にならないから価格を載せなかっ ただけである。

 車両価格が468万円の320iにぶつけるなら車両価格441万円の日産フェアレディZ(34型)が適切だ。
 こちらも86や320iと同じFRスポーツなのだからコレがベストチョイスの筈。 選択しない理由が無い。
 理由を考えれば一つしか思い浮かばないが、おそらく正鵠を射ているだろう。
 Z34を引き合いにだしたら、どう捻った文章を創っても320iを勝たせるのは不可能なので、わざわざ 格下の86を当て馬にしたのだ。

 卑怯千万とはこのことである。



 三発目も酷い。

 ■ ホンダCR-Z vs アルファロメオ ジュリエッタ

 CR-Zの車両価格251万円に対してジュリエッタの車両価格が318万円
 1.27倍の価格差は、少なくとも [ トヨタ86 vs BMW 320i ] や [ 鈴木スイフトスポーツ vs VW ルポ GTi ] に比べれば比較対照に成り得るかも知れない。

 しかし、アルファロメオにはMitoというモデルがある。

 こちらなら価格は278万円。 価格差1.11倍は適正な比較対照となる。

 ところが編集部は敢てジュリエッタを選んだ。 何故か? これまた下種の勘繰りに過ぎないが、CR- ZにMitoをぶつけたらCR-Zの圧勝になってしまう。 だからジュリエッタを選んだのだろう。

 記者曰く「ジュリエッタが100点ならCR-Zは105点」で、CR-Zの辛勝なんだそうだ。
 何が100:105だよ。
 それが正当な評価であるなら、正当な比較対照であるMitoだったらCR-Zの圧勝じゃないか。

 ばかばかしい。



 最後の四発目は、またもや

 ■ 鈴木スイフトスポーツ vs VW ポロGTi

 まぁこんな弩マイナーな個人ブログなんて誰も読んじゃいないと思うから「半年前に散々バカにされた のに性懲りも無く」とは言わないが、常識的に考えて車両価格174万円(CVTの場合。 6MTなら168万円) スイフトスポーツ車両価格294万円のポロGTiが比較になるワケがない(価格差1.69倍。 対6MTなら 1.75倍)。

 今回の記事は、前回のお詫びみたいな内容。 揉み手でスイフトスポーツを持ち上げ、「優劣というよ りは想定する速度域の違いなのだろう。 ポロGTiは200km/hまで見据えた走安性を想定しており、ス イフトスポーツは150km/hくらいまでのハンドリングのよさに比重を置いたセッティングなのだ」と実に明 快な結論を出しているが、「ポロGTiが100点ならスイフトスポーツは95点」って(嗤)。

 そもそも比較対照が適正ではない。

 同じFFスポーツというカテゴリの中から車両価格294万円のルポGTiに適切な比較対象を探し出せ ば、マツダのMAZDASPEED AXELAしかない。 車両価格270万円(価格差1.09倍)なのだから、「コレ 以外にない」と断言して良いと思う。
 だが選ばれない。
 何故か?
 またもや下衆の勘繰りだが、[ トヨタ86 vs BMW 320i ] や [ ホンダCR-Z vs アルファロメオ ジュリエ ッタ ] と同様に、MAZDASPEED AXELAを引き合いにだしたら、どう捻った文章を創ってもルポGTiを勝 たせるのは不可能なので、わざわざ格下のスイフトスポーツを当て馬にしたのだ、と確信する。



 この特集を統括すれば、
 方向性の違う日本車を当て馬にして欧州車が有利になるような評価軸で採点したり、明らかに価格 帯の異なる日本車を当て馬にしたりしなければ欧州車は日本車に勝つことが出来ない ―― が結論で ある。

 これの何処が『日本のスポーツカーは名門を超えたのか? 欧州の名門vsJスポーツ』だよ。

 『欧州のスポーツカーは日本車に追い付いたのか? Jスポーツ vs 欧州の名門(笑)』の間違いだ ろ。


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